2008 Fiscal Year Annual Research Report
稠密・高出力密度軽水炉の成立性評価に資する機構論的沸騰二相流解析技術の開発
Project/Area Number |
20360419
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 富雄 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20314362)
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Keywords | 相変化伝熱 / 限界熱流束 / 液膜ドライアウト / 不安定 / サブクール沸騰 / 表面濡れ性 / ボイド率 |
Research Abstract |
内径5mmの円管内を流れる水の強制対流沸騰を対象として、入口流量が時間とともに正弦的に変化する条件下で、環状流中の液膜ドライアウトに起因する限界熱流束(CHF)の計測を実施した。系圧力を0.5および1MPaとし、入口流量の振動周期を主な実験パラメーターとして計測を行ったところ、CHFは振動周期の増加とともに低下する傾向があることが明らかとなった。そこで、非線形波の時間発展に関する理論解析結果をベースとして、定常条件下CHFより流量振動条件下CHFを推算するモデルを開発した。CHFの変化傾向はモデルによる予測と定性的に一致し、モデルの基本的な予測性能が確認できた。したがって、定常条件下におけるCHFに関してはこれまでに多くの実験データが蓄積されていることから、本モデルを使用することにより流量振動下におけるCHFを高い信頼性で予測することが可能になるものと期待できる。また、強制対流サブクール沸騰中の熱流動構造に関して詳細な実験情報を得るため、本体系下における気泡挙動の可視化、ボイド率および流体温度の多次元計測を実施可能な試験体を製作した。一般に、強制対流サブクール沸騰中の気泡挙動を直接観察するには困難を伴うが、試運転の結果、本試験体を用いることにより、気泡挙動を詳細に観察可能であることを確認した。また、強制対流サブクール沸騰中の熱流動構造は、伝熱面の濡れ性により大きく変化すると予想される。そこで、表面酸化およびナノフルイドを用いて濡れ性を変化させることを試み、接触角制御技術を確立した。本手法を用いることにより、接触角をパラメーターとして実験計測を実施する準備を整えた。
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