2010 Fiscal Year Annual Research Report
稠密・高出力密度軽水炉の成立性評価に資する機構論的沸騰二相流解析技術の開発
Project/Area Number |
20360419
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 富雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20314362)
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Keywords | 強制対流沸騰 / 限界熱流束 / 液膜ドライアウト / 流量振動 / サブクール沸騰 / 気泡挙動 / ボイド率 / 非線形波動理論 |
Research Abstract |
発振下における液膜ドライアウト予測については、非線形波動理論を用いて流量振動下における環状流中の液膜挙動を記述する手法を考案するとともに、発振下で液膜ドライアウトに起因する限界熱流束の実験計測および一次元三流体モデルに基づく数値予測を行った。この結果、開発した手法により、流量振動による限界熱流束の低下幅を定量的に評価可能であることを示した。したがって、本研究で開発した手法を用いることにより、流量振動下においても、定常条件下と同等の精度で、限界熱流束を予測することが可能となった。サブクール沸騰域ボイド率予測については、まず、蒸気泡を形成する伝熱面の濡れ性により、蒸気泡挙動が大きく異なることを見出した。このため、より実機条件に近い高濡れ面を用いて強制対流サブクール沸騰中の蒸気泡挙動観察を行った。この結果、典型的な気泡挙動としてスライド型と離脱型があり、気泡形成時の伝熱面過熱度が高いときに離脱型が生じやすいことを示した。伝熱面過熱度は、沸騰核における形成後の気泡成長速度を特徴付けるパラメーターであるため、何れの気泡挙動形態となるかは、伝熱面過熱度に基づくヤコブ数を用いて判定可能であることを示した。スライド型の場合には、スライド気泡による伝熱促進により、気泡形成抑制領域が形成されること、離脱型の場合には、気泡合体とともにボイド率の急増が開始することを考慮することにより、サブクール沸騰域におけるボイド率の軸方向発展を機構論的かつ高精度で予測可能であることを示した。
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