2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性低紫外線環境ストレスによるゲノム損傷応答と耐性機構に関する研究
Project/Area Number |
20370002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菱田 卓 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (60335388)
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Keywords | DNA修復 / DNA複制 / DNA相同組換え / DNA損傷トレランス / 紫外線 |
Research Abstract |
紫外線はDNA塩基損傷を引き起こす主要な環境要因であり、細胞死や突然変異などのゲノム不安定性増大の原因となることが知られている。本研究では、出芽酵母をモデル生物として、独自に作製した低線量の紫外線照射(CLUV)下で培養可能な装置を用い、DNA損傷による複製阻害時にDNA損傷トレランスとDNA相同組換えが果たす役害と、2つの経路間の連携について詳細に解析を行った。これまでの研究から、DNA複製阻害の回避に機能するDNA損傷トレランス経路の欠損株(e. g. radl8△株)は、CLUV環境において極めて高い感受性を示すことを明らかにしてきた。今回あらたに、バクテリアからヒトまで保存されているSrs2 DNAヘリケースめ変異によって、rad18△株のCLUV感受性が抑圧されることを見いだした。さらに、この抑圧効果は、DNA相同組換え機能の活性化にともない、rad18△株で蓄積する一本鎖DNAが修復されるためであることがわかった。さらに、この組換え反応を阻害する機能と連携する形で、Srs2はDNA損傷チェックポイントの活性化に重要な役割を果たしていることを見いだした。これらの結果から、DNA損傷トレランス機能を失った細胞では、Srs2は相同組換え反応を阻害と損傷チェックポイントの活性化に重要な機能を果たしていることが考えられる。また、Srs2は損傷チェックポイントの活性化に伴ってCDKによるリン酸化を受けるが、今回、我々は、このリン酸化がCLUV環境から細胞が解放された際に、組換え反応の促進に重要であることを見いだした。このように、Srs2は損傷チェックポイントの活性化に必要であるだけでなく、その活性化にともなって自身もリン酸化制御を受けており、その結果、Srs2は組換え阻害と促進の両面で機能するユニークなタンパク質であることがわかった。
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Research Products
(9 results)