2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐渡 敬 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 准教授 (70321601)
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Keywords | 遺伝学 / 発生・分化 / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
胚体外組織においてXist^<IVS>アリルが引き起こすX染色体不活性化の異常について,分子生物学的,および細胞生物学的に解析するため,胚体外組織系列の培養細胞株であるTS細胞の樹立を試みた.試行錯誤の末,野生型のオス,もしくはXist^<IVS>/Yのオスと野生型のメスを交配して得られた胚盤胞から,TS細胞を最終的にメスについては5ライン,オスについては3ライン樹立することができた.これらの細胞を用いて染色体の複製タイミングを調べた結果,メスのTS細胞では野生型,+/Xist^<IVS>を問わずいずれも細胞遺伝学的に確認できる不活性X染色体をもっていることが分かった.また,Xist RNAの発現の様子をRNA-FISHによって調べたところ,野生型と+/Xist^<IVS>の間に顕著な違いは認められなかった.さらに,不活性X染色体の特徴であるヒストンH3K27me3についても両者の間に差異は認められなかった.ところが,TS細胞を分化させると,野生型ではXist RNAの発現,H3K27me3の局在について大きな変化はなかったのに対し,+/Xist^<IVS>においては,Xist RNA,H3K27me3陽性の核の数が顕著に減少することが分かった.これらの結果は,+/Xist^<IVS>胚の胚体外組織は不活性化したX染色体の維持に問題があることを示唆している.
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