2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370005
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
田中 誠司 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助教 (50263314)
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Keywords | DNA複製 / CDK / 細胞周期 / 複製開始 |
Research Abstract |
真核細胞の染色体DNA複製は、一回の細胞分裂周期につき一度だけ過不足なく起きるように厳密な制御を受けている。細胞は、1)S期に染色体DNA複製を開始させる活性と、2)染色体DNAの再複製を阻止する活性を巧妙に組み合わせることで、この制御を成立させている。本課題では「染色体DNA複製の開始反応」を分子レベルで理解することをめざし、解析を行っている。複製開始反応系に関わる因子は以下の4種類に大別できる。1)pre-RC(複製開始前に染色体の複製開始点上に形成されるタンパク-DNA複合体)に含まれ、実際のDNA合成の場である複製フォークには含まれないもの、2)pre-RC、複製フォークの両方に含まれるもの(Mcm2-7)、3)pre-RC、複製フォーク共に含まれないが複製フォークの形成には必要なもの(Sld2,Sld3,Dpbll)、4)pre-RCに含まれないが、複製フォークには含まれるもの(Cdc45,GINS,Polε他)。本年度は、これらの因子のうち、DpbllとGINS相互作用部位が複製開始に必須の役割を持つことを示し、さらに、この部位が他の真核生物でも保存されている可能性を見いだした。また、各因子の細胞内濃度を調べ、上記3)4)の因子のうちいくつかのものは細胞あたりの分子数が染色体上の複製起点の数より少なく、S期開始時点でそれらが不均一に分布していることが、ゲノム中に複数散らばって存在する複製開始点の高次制御に関わること、この不均一な分布は複製開始に必要なタンパクキナーゼにより制御されているという結果を得た。この結果は、高次DNA複製開始制御を考える上で、非常に重要な発見になる可能性がある。これらの結果をさらに発展させるべく上述の各因子の解析を続け、所期の目的達成を目指す。
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