2010 Fiscal Year Annual Research Report
間接相互作用網:生物間相互作用ネットワークの解明への新たなアプローチ
Project/Area Number |
20370010
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10197197)
山内 淳 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40270904)
|
Keywords | 表現型可塑性 / 生物群集 / 間接相互作用 / ネットワーク |
Research Abstract |
ジャヤナギの生産と分解のプロセスにおける遺伝子型と表現型可塑性の効果を明らかにするため、実験圃場において操作実験をおこなった。生長量は遺伝子型と表現型可塑性の効果によって決定されていたが、二次生長量には遺伝子型による違いは見られなかった。遺伝子型の効果は生長量全体の分散の40%を説明することができ(表現型可塑性による説明は3%)、成長量に対しては遺伝子型が重要な効果をもっていることが示された。さらに、落葉の分解速度について、切葉個体の落葉の分解速度は切葉しなかった個体より遅くなった。一方、落葉の分解速度には遺伝子型の違いによる効果は検出されなかった。このことは、分解過程における植物の効果は、遺伝子型よりも表現型可塑性の効果が強いことを示している。 セイタカアワダチソウの遺伝子型が外来昆虫アブラムシの密度に与える影響を調べるため、日本(京大生態研)と北米(ミネソタ大学)で野外調査と接種実験を行った。その結果、日本および北米で両種の密度は植物の遺伝子型によって大きく異なっていた。さらに、北米と日本のセイタカアワダチソウのクローンを、日本の実験圃場に移植してアブラムシ接種実験を行った。その結果、アブラムシの密度と成長率は北米に比べて日本で高く、植物のクローンによってアブラムシの密度は異なった。しかし、野外とケージ内の植物クローン上のアブラムシ密度には相関がなかった。アブラムシの捕食者や寄生者の密度がクローン間で異なったことから、捕食・寄生と植物の遺伝子型の交互作用がアブラムシの密度に影響する可能性が示唆された。 エンドウヒゲナガアブラムシの寄生蜂であるエルビアブラバチの植物揮発性成分に対する学習行動を解析し、複数回の学習が特異的嗅覚応答を確立していることを解明した。さらに、植物間のコミュニケーションの感度をシロイヌナズナで計測し、それが節足動物と同程度であることを認めた。
|
Research Products
(25 results)