Research Abstract |
植物のアーキテクチャは伸長成長と力学的安定性のトレードオフによって決まることを仮説に、その機構をファイトマーの伸長成長と力学的安定生にかかわる特性を解析することにより明らかにすること、およびアーキテクチャが植物の光合成、成長、繁殖に与える影響を明らかにすることを目的に研究を行っている。オオオナモミを1個体/ポットの割合で,栄養を与えて砂耕栽培した。ポットの間隔を広くとることにより孤立個体,ポットを密に配置することにより群落個体を得た。これら個体について以下に記す方法で,個体の伸長成長と力学的安定性に係わるファイトマーの特性を計測した。[伸長成長]孤立個体、群落個体それぞれ10個体をマーキングし,1週間おきに,非破壊的に主軸ファイトマーの成長を計測し,相対伸長速度を算出した。測定項目:節間の長さと直径,葉柄と葉身の長さ。ひと月おきに,マーキング個体と別の個体から,孤立個体と群落個体それぞれランダムに5個体を選び、節間の長さと直径,体積および葉の長さ,葉面積を測定した。節間と葉の生重と乾重,根重を測定した。デンプン,セルロース,ヘミセルロース,リグニン含量の定量は現在測定方法の検討中。上記とは別個体について,節間の浸透圧,膨圧を測定したが、本年度は測定方法の検討にとどまった。 [力学的安定性]主軸茎の材料力学的特性(ヤング率,破壊応力)と負荷(茎や葉の生重,風の当たる葉の面積)を測定し,シュートの力学的性質(座屈,曲げ,風による折れに対する安全率)を評価した。これらと茎の高さ,高さ当たりの重さ,直径,体積重などの植物の形態と構造に係わる性質,セルロース,ヘミセルロース,リグニン,窒素含量などの化学的性質との関係については現在検討中。茎の横断面を作成し,力学的安定性に影響する構造物の茎内分布を組織化学的方法で調べた。リグニンの分布に顕著な差が見られた。
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