2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアーキテクチャ:伸長成長と力学的安定性のトレードオフ
Project/Area Number |
20370015
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
廣瀬 忠樹 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (90092311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (10272006)
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Keywords | 植物のアーキテクチャ / 伸長成長 / 力学的安定性 / 資源利用 / 成長と繁殖 / 窒素 / 光 / 分枝自律性 |
Research Abstract |
植物の高さや分枝、葉の配置などの受光体制や力学的安定性に係わる植物の外部形態をアーキテクチャという。異なる光環境が植物のアーキテクチャに与える影響を、メタマーを単位にして解析した。メタマーとは1つの節間と葉から構成される植物成長の単位である。植物のアーキテクチャは伸長成長と力学的安定性のトレードオフによって決まることを仮説に、トレードオフが成立する機構を、メタマーの伸長成長と力学的安定性に係わる特性を解析することにより明らかにすること、およびアーキテクチャが植物の光合成、成長、繁殖に与える影響を明らかにすることを目的に研究を進めた。(1)東京農業大学の実験圃場(東京)に設置した網室において、2段階に窒素量をかえイネを栽培した。5個体をマーキングし、分げつと分げつに着く個葉の動態(出葉と落葉、葉面積成長)を10日置きに計測した。また個体毎に幼穂形成から穂の成熟までの繁殖成長と繁殖成長が個葉動態に与える影響を解析した。(2)オオオナモミを一定の栄養を与えて高密度・低密度で砂耕栽培した。それぞれ7個体をマーキングし、個葉の動態を10日置きに計測した。イネと同様に個体毎に繁殖成長と繁殖成長が個葉動態に与える影響を解析した。論文準備中。(3)前年のオオオナモミに関する個体の成長と窒素利用の実験は論文にまとめ発表した(Watari et al. 2012)。窒素利用効率は植物の成長の解析にも適用できることを示したものである。(4)これに先立ち、現在広く使われている植物の窒素利用効率の概念について再検討した。概念を植物成長のような非定常過程に適用するには、吸収した窒素量あたりの積算植物窒素量として定義し直す必要があることを論証した(Hirose 2012)。これを個葉レベルに適用し、「個葉の窒素利用効率」を定義し、その重要性を論議した(Hirose 2012)。平均滞留時間は、葉の寿命など葉群動態の解析に応用できることを示した(Hirose & Oikawa 2012)。
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Research Products
(10 results)