2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミヤコグサを用いた根粒形成初期シグナリングの分子機構の解明
Project/Area Number |
20370020
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
川口 正代司 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 教授 (30260508)
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Keywords | 根粒形成 / シグナル伝達 / ミヤコグサ / Nod factor / 根粒菌 |
Research Abstract |
1)ミヤコグサより単離した根粒形成の開始に必要とされるGRASファミリーの転写因子NSP2のプロモーターにGUS遺伝子を連結させたコンストラクトを作成し、アグロバクテリウムを介したstable形質転換法でミヤコグサに導入した。その後、根粒菌Mesorhizobium lotiに対する応答性を解析した。その結果、野生型では感染後7日目の根の若い領域でGUS発現の低下が観察された。このNSP2遺伝子の発現量の低下が、感染依存的な根における根粒形成能と根粒菌の受容能の低下を示している可能性があり、極めて興味深い。さらにステージが進むとGUSの発現は根粒原基の下部組織で顕著に観察されるようになり根粒原基形成との関連が示唆された。一方負のフィードバック制御が破綻したhar1変異体では根粒菌感染後のGUSの低下は観察されなかった。 2)NSP2タンパクのペプチド抗体を用いて根端領域で根粒菌感染後の挙動を解析した。非特異的バンドがNSP2タンパクの近くに存在し、検出に苦労したが、最終的に野生型で感染にともなうNSP2タンパク量の現象が観察された。しかしhar1変異体ではさほど変動は受けず、HAR1はNSP2の安定性に寄与している知見が得られた。 3)Nod factorシグナル伝達系に位置し、根粒形成と菌根形成の破綻したミヤコグサ1978変異体nenaについてポジショナルクローニングで候補遺伝子を特定した。さらに相補実験によって原因遺伝子であることを確認した。NENAの原因遺伝子は、核孔を形成するヌクレポリンの一種をコードしており、酵母や動物のSEH1と相同性が観察された。酵母や動物ではSEH1はNUP85と相互作用することが知られている。Y2Hで解析したところ、NENAは以前我々が特定したミヤコグサNUP85と相互作用することが示された。
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Research Products
(5 results)