2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミヤコグサを用いた根粒形成初期シグナリングの分子機構の解明
Project/Area Number |
20370020
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
川口 正代司 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 教授 (30260508)
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Keywords | 根粒形成 / シグナル伝達 / ミヤコグサ / Nod factor / 共生 |
Research Abstract |
根粒菌が分泌するNod factorは根粒形成を誘導するという正の制御因子として機能するだけでなく、HAR1を介した負の遠距離制御系を活性化することによって根粒形成を抑制する。Nod factorはNSP2等を介して根粒抑制活性のあるCLE-RS1/2遺伝子を根で顕著に誘導する。麗を介したフィードバック制御機構とαβ「器1/2の関連を明らかにするために、tm1根粒過剰着生変異体においてCLE-RS1/2を過剰発現させた。その結果、根粒形成の抑制は観察されなかった。このことからTMLはCLE-RS1/2遺伝子によるフィードバック制御に必須であることが示された。次にTMLの候補遺伝子を野生型に導入し過剰発現したところ、根粒形成は抑制されず逆に顕著に増加した。同様な表現型は候補遺伝子のRNAiによっても観察された。候補遺伝子にはupstream ORFが見つかり、それを含めた制御系の介在が浮上した。 ミヤコグサの共生変異体daphneの表現型解析から、過剰な感染糸を形成するが根粒原基を全く形成しない新規な表現型をもつことが判明した。マップベースクローニングの結果、daphneの根粒非着生の表現型はゲノム上の二ケ所と連鎖しており、さらにinverse PCR法により、既知共生遺伝子NINの約7kb上流での染色体間の相互転座が生じていることを見出した。既に報告のあるninとの交配によるアレリズムテストの結果、daphneは新規のninアレルであることが判明した。daphneの根粒非着生の表現型はdaphneと同様であるが、感染糸を全く形成しない点でdaphneとは正反対の表現型である。これまで、「感染」と「器官発生」の二つの現象を司る分子メカニズムを互いに分離して解析することは実験的に困難であったが、daphneはそれを可能にするはじめての変異体になりうることが示唆された。
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Research Products
(6 results)