2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の原子構造情報を活用した植物のレッドクス代謝機能の制御
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20370022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | 蛋白質 / 植物 / 光合成 / 代謝 |
Research Abstract |
本研究がスタートして3年間にあたり、炭素・窒素・硫黄の無機物同化の代謝ネットワークの酵素群と電子キャリアーの構造を基盤に、新しい分子装置のin vitroでの機能評価を行うと共に、各種形質転換植物を作出した。この構造・機能情報を深化させると共に、取得した植物の葉緑体の形態や代謝系の駆動状況を解析した。 (1) 葉型、根型のフェレドキシン(Fd)とFd:NADPH酸化還元酵素(FNR)の複合体構造から分子間相互作用にかかわるFNR側の特異的な改変体を作製した。それらの分子特性を解析し、葉型と根型のFNRがFdと異なる様式で相互作用する構造要因を明らかにした。 (2) トウモロコシでは葉型FNRに3種類のアイソザイムがあり、それぞれ葉緑体内での存在部位がチラコイド膜とストロマで異なる。シロイヌナズナにこのアイソザイム遺伝子を導入してヘテロガスに発現させたFNRの葉緑体内局在性を調べ、トウモロコシの場合と類似する性質を示した。この存在部位を規定している領域がFNR分子のN末端領域にある可能性が考えられたので、この領域を繋ぎ換えたキメラ分子種を作製し、シロイヌナズナの形質転換系で局在を調べてこのN末端領域仮説がほぼ正しいことを結論した。 (3) 従来のFdとは異なるサブファミリーに属するFd類縁体(Fdc1、Fdc2)の酸化還元特性や電子伝達能等の物性を決定し、Fdc1については論文として報告した。Fdc2についてはさらなる解析を進めている。 (4) Fdc2のシロイヌナズナノックダウン株を作製した。表現型は緑黄色を示し、電子顕微鏡観察によると葉緑体のチラコイド膜のスタッキングの発達度合いが低いことが明らかになった。Fdc2の植物体での発現部位や発現量を解析や、ノックダウンによる炭素・窒素同化系の酵素蛋白質への影響を調べ、生理的解析を継続して進めている。
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Research Products
(12 results)