2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の原子構造情報を活用した植物のレドックス代謝機能の制御
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20370022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | 蛋白質 / 植物 / 光合成 / 代謝 |
Research Abstract |
炭素・窒素・硫黄の無機物同化の代謝ネットワークの酵素群やそれに還元力を供給する電子伝達複合体の構造と機能をこれまで明らかにしているので、さらにそれを進めると共に、in vitroでの機能評価を視野に入れた研究を進めた。 (1)プラスチド内のレドックスカスケードの基盤となる葉型、根型のフェレドキシン(Fd)とFd:NADPH酸化還元酵素(FNR)の複合体形成を規定している領域をトウモロコシを材料にして的な部位特異的な改変体により明らかにしたので、それぞれの分子種の生理機能について、炭素・窒素同化能力の観点から植物体全体について解析を進め、チラコイド膜結合の特性を発揮する構造要因を明らかにした。 (2)このためにArabidopsisを用いて非光合成型のFdおよびFNRを別々にノックダウンした株を作製しつつある。ノックダウン度合いの検討から目立った表現型が認められないが、植物個体として葉緑体と非光合成プラスチドの補完機能の仕組みがあるとの仮説を立て、亜硝酸に依存した成長に差異がある表現型を観察した。 (3)シアノバクテリア由来と高等植物由来のFdは亜硝酸還元酵素と相互作用力が大きく異なり、この差異は静電的相互作用力以外の因子が関係していることを突き止めた。 (4)グルタミン合成酵素やグルタミン酸合成酵素の構造の決定に取り組み、特にFdとグルタミン酸合成酵素との複合体の結晶作製に成功した。良好なX線回折像が得られており、原子構造決定の最終段階に入った。 (5)アスパラギン合成酵素の構造や発現機構の解析を進め、窒素同化の初期産物としてのグルタミンとアスパラギンの代謝特性を明らかにするため、組織免疫解析を行いアスパラギン合成酵素が師管伴細胞で発現していることを明らかにした。 (6)最終年度に当たるので、全体のとりまとめの作業を進めた。
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Research Products
(6 results)