2008 Fiscal Year Annual Research Report
藻類の受精発生における雌雄配偶子認識機構とオルガネラ細胞質遺伝機構の解析
Project/Area Number |
20370025
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本村 泰三 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 重行 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70161338)
宮村 新一 筑波大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00192766)
加藤 敦之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90177428)
長里 千香子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (00374710)
|
Keywords | オルガネラ / 細胞質遺伝 / 受精 / 藻類 / 電子顕微鏡 / 分子遺伝学 / 葉緑体 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究においては, 1)雌雄配偶子問の認識機構, 2)オルガネラ(ミトコンドリア, 葉緑体, セントリオール)の細胞質遺伝機構」について細胞形態学および分子生物学的解析を中心に進めることを目的として研究を進め, 3)藻類の受精発生過程を一つのモデルとして, 同形配偶子接合から異形配偶子接合, そして卵生殖へと有性生殖パターンが変化(進化)する過程で, オルガネラ細胞質遺伝機構の制御がどのように変化するのかを具体的な実験観察結果から考察することを最終的な目的としている。 本年度は, 褐藻カヤモノリ(同型配偶子接合)を材料として葉緑体とミトコンドリアの細胞質遺伝について電子顕微鏡と分子遺伝学的手法を用いて調査を行った。その結果, 接合子とそれに続く胞子体の発生過程において葉緑体は両性遺伝するのに対して, ミトコンドリアは雌性配偶子由来であることを確認した。次に, 接合子発生途上のどの段階で雄性配偶子由来のミトコンドリアDNAの消失が起こるかを調べたところ, 接合子が4細胞程度に分裂した時期に特異的に消失していることが明らかになった。この時期の細胞内のミトコンドリアを電子顕微鏡で観察すると, 内部に電子密度の高い物質を有していたり, 膨潤化しているものがしばしば観察できた。さらに褐藻ウカメ(卵生殖)を材料に同様の手法で観察したところ, 精子由来のミトコンドリアDNAの消失は受精卵が分裂する前に起こっていることが明らかになった。その時期の微細構造観察から精子由来ミトコンドリアが受精卵細胞質内においてリソゾーム様構造によって消化されていることが確認できた。
|
Research Products
(7 results)