2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナメクジウオの内分泌機構の解明と脊椎動物との比較内分泌学的研究
Project/Area Number |
20370026
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
窪川 かおる The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授 (30240740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 宏徳 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60221743)
新村 芳人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (90396979)
|
Keywords | 生体調節 / 進化 / 甲状腺 / 下垂体 / ゲノム / 脊索動物 / EST / ホルモン |
Research Abstract |
無脊椎動物から脊椎動物への進化の過程において、脊椎動物に特有な内分泌機構の進化を明らかにすることを目的とする。実験材料には、脊椎動物の祖先に近縁で2008年にゲノム解読が終了したナメクジウオを用いた。ナメクジウオには、甲状腺や下垂体の祖先型と推測される内柱やハチェック小窩が存在し、生殖腺には脊椎動物と同様な性ステロイド生合成経路がある。これらからナメクジウオは脊椎動物の生殖内分泌機構の祖先型モデルであると考えられる。本年の成果は次であった。1)ナメクジウオのゲノム配列が公開されたので、内分泌関連物質の遺伝子を再度検索した。その結果、下垂体ホルモンはなく、広く組織に存在する糖タンパク質ホルモンのみあることを示した(Tando & Kubokawa,2009)。2)レーザーマイクロダイセクション法で集めたハチェック小窩のEST解析を行い、解析中である。3)性ステロイド代謝経路で5α還元型ステロイドが重要であることを明らかにした。5α還元酵素とその遺伝子をHPLCとクローニングでそれぞれ単離し、卵巣と神経索で発現していること、卵細胞に分布することを明らかにした(Roy,et aL, in preparation)。4)糖タンパク質ホルモン、神経ペプチド、性ステロイド代謝酵素の遺伝子の発現をin situハイブリダイゼーション法で明らかにした。生殖腺および神経索の神経細胞に局在していることがわかった(Tando & Kubokawa, in reviewing th erevisedMS)。5)免疫組織化学の手法で、性ステロイド代謝酵素と糖タンパク質ホルモンの局在を調べた。以上の本年度の成果から、ナメクジウオの神経索は、内分泌器官として重要な役割をもつことがわかり、次年度には神経索の神経細胞の役割を重点的に調べることにした。
|