2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今田 勝巳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40346143)
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Keywords | 分子機械 / ナノマシン / 生物物理 / 蛋白質 / 生体分子 |
Research Abstract |
本研究では、ペプチドグリカン層を貫く細菌べん毛軸構造であるロッドの形成機構を明らかにするため、X線結晶構造解析法と電子顕微鏡法を組み合わせて、ロッドキャップFlgJの構造、FlgJのペプチドグリカン分解活性発現機構、ロッドおよびロッド-キャップ複合体構造の解明を通じてべん毛軸構造がどのように形成されるかを明らかにしていくことを目指した。H22年度の主な成果は以下のとおりである。 1. FlgJのペプチドグリカン分解活性の阻害は、カチオンの種類ではなくイオン強度に依存して起こること、アニオンには依らないことを明らかにした。 2. FlgJの加水分解反応は自身のN末領域(通常はdisorderしている)により阻害されることを見出した。 3. 逆伸長法により、フック側から伸長させたFlgGにFlgFが結合するが、さらなる伸長は起きないことがわかった。このことは、FlgFが各プロトフィラメントに1分子ずつ結合することを示唆している。 4. FlgG完成後にFlgG上でキャップ構造を形成し、その後フックキャップとして機能するFlgD変異体の解析から、軸構造に共通するN末ヘリックス領域でFlgG軸構造と相互作用し、C末ドメインが新たに輸送されてきたフック分子の漏れを防ぐキャップ機能を担うことを明らかにした。 5. FlgE変異株の遺伝学的解析から、FlgEのD1と高い相同生を示すFlgGのコアドメインとFlgEのD1ドメインが相互作用することを明らかにした。 6. 昨年作成した1.7Å分解能まで回折するFlgGフラグメント結晶は双晶であることが判明した。そこで新たにスクリーニングを行ったところ、斜方晶に属する2.3Å分解能まで回折する結晶の作製に成功した。Se-Met誘導体の結晶化にも成功し、回折強度を測定した。現在構造解析中である。
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Research Products
(6 results)