2008 Fiscal Year Annual Research Report
フェレドキシン依存性ビリン還元酵素群による多様なビリン色素合成の分子機構の解明
Project/Area Number |
20370037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康弘 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154874)
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Keywords | ビリン色素 / X線結晶解析 / 光合成色素 / クロロフィルの分解 / 分子進化 |
Research Abstract |
紅藻や藍藻では、ビリン色素はタンパク質に結合し、これが巨大な複合体(フィコビリソーム)を形成して光エネルギーを集めている。高等植物では、ビリン色素はフィトクロムに結合し、種子の発芽など幾つかの生理反応の制御に関与している。本研究ではビリン色素の合成に関与するフェレドキシン依存性ビリン還元酵素(FDBR)の代表であるPcyAを取り上げ、この構造生物学研究を行った。PcyAはビリベルジンを基質として、逐次2段階反応によってフィコシアノビリンへと導く。反応中間体(2段階目の反応の出発物質)である18^1,18^2-dihydrobiliverdin IXAを有機化学的に合成し、これをPcyAに結合させた状態の構造をX線結晶解析によって決定した。これにより、PcyAの反応過程でどのような構造変化が起るかを明らかにした。さらに、基質である色素の認識・反応に関与するアミノ酸残基を部位得意的に変異させたミュータントタンパク質を発現・精製した。これらのそれぞれについて酵素活性・物理化学的特性を調べるとともに、ビリベルジン結合型の結晶構造を決定した。一方、FDBRと一次構造上弱い相同性がある酵素、red chlorophyll catabolite reductase (RCCR)の結晶構造解析にも取り組んだ。多波長異常分散法により位相を決定し、構造解析に成功した。 RCCRの三次構造はFDBRのそれと類似していることが明らかになった。RCCRはクロロフィルの分解に関り、FDBRとは異なった反応を触媒するが、両酵素が共通の祖先を有することを示した。
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Research Products
(4 results)