2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370039
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤木 幸夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70261237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 茂彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90236753)
三木 邦夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10116105)
|
Keywords | ペルオキシソーム / CHO変異細胞 / ペルオキシン / タンパク質の輸送・局在化機構 / AAA ATPase / タンパク質相互作用 / レドックスポテンシャル / PPAR |
Research Abstract |
本年度は以下の研究項目に取り組み、いくつかの新たな知見を得、一層の進展を図ることができた。 1)ペルオキシソームマトリックスタンパク質の輸送・局在化機構の解明 a)新規pex5 CHO変異株ZPEG241の解析:PTS1受容体,Pex5p[S型とL型(S型内部に37アミノ酸の挿入配列)が存在]のうち、PTS2タンパク質輸送に関わるPex5pLの特異的37アミノ酸配列のN-末側上流7アミノ酸配列の必須性が新規に単離したpex5 CHO変異株ZPEG241により、明らかになった(Honsho et al.2011)。 b)Pex26pによるPexlp-Pex6p複合体のリクルート機構:Pex26pはN-末側領域をサイトゾルへ配向したII-型ペルオキシソーム(Ps)膜タンパク質であり、サイトゾル側領域でAAA ATPaseであるPex1p-Pex6p複合体をPsへとリクルートする役割を持つ。Pex1pとPex6pのPs膜上への局在化機構を解明するため、セミインタクト細胞を用いたin vitro targeting assay系を構築した。この系による解析結果から、Pex1pはATP加水分解依存的に、またPex6pはATP結合依存的にPsへ局在化することが明らかとなった。Pex1pおよびPex6pはATPの有無によりプロテアーゼ耐性が変化することから、ATPaseサイクルを通して構造変化を起こし、かつこの構造変化が局在化に必須であるものと推察された。さらに、Pex26pの機能に重要であると思われるアミノ酸配列領域を同定した(Nashiro et al.2011)。 2)ペルオキシソーム欠損細胞の酸化還元状態解析 レドックス変化を検知できる蛍光分子プローブ(レドックスフロール)を用いて、ペルオキシソーム形成障害性・欠損性変異細胞(CHO変異細胞)および正常細胞とのレドックス状態を検討の結果、変異細胞では細胞質が非常に還元的状態であることを見出した(Yano et al.2010)。この発見は、ペルオキシソーム形成障害性疾患の統合的理解に繋がるものと期待される。 3)PPARの核-細胞質間輸送機構:核局在化シグナルNLS)の同定 ペルオキシソームの誘導制御機構解明の一環として、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPARα)のNLSの同定に成功した(Iwamoto et al.2011)。DBD-Hinge領域内アミノ酸残基144-187に存在する2つの塩基性アミノ酸クラスターをNLSとして見出し、かつPPARαのimportinα/β依存的輸送を明らかにした。
|