2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通型蛋白質マイクロゾーマルプロスタグランジンE2合成酵素1のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
20370042
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吾郷 日出夫 独立行政法人理化学研究所, 宮野構造生物物理研究室, 専任研究員 (70360477)
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Keywords | 膜蛋白質 / 結晶化 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
可溶化した膜蛋白質が十分安定である事は,膜蛋白質の結晶構造解析に必須である.2007年以降,それまでは,構造解析が非常に難しいと考えられていたG蛋白質共役受容体の構造解析が報告されるようになった.この進歩の背景には,まだ普遍的とは言い難いものの,G蛋白質共役受容体の安定化戦術に一定の道筋が示された事がある.例えば,T4リゾチームとのキメラ化,特異抗体のFab断片や低分子化合物との複合体化などである.またこれらの安定化戦術に加え,メソフェーズ法やバイセル法といった,細胞膜の脂質二重膜構造を模した環境での結晶化も,共通して用いられた方法である. マイクロゾーマルプロスタグランジンE_2合成酵素1(mPGES1)は,49℃で5分間インキュベートすると,酵素活性が半分に低下した.一方,mPGES1と同じ蛋白質ファミリーに属す膜蛋白質で,我々がX線結晶構造を報告したロイコトリエンC_4合成酵素では,5分間の加熱で酵素活性が半分に低下する温度は58℃であった.この結果を受け,熱安定性の向上が期待できる変異体を12種類作成した.また,結晶化でバイセル法を用いた.ドデシルマルトシドで安定化したmPGES1は,ポリエチレングリコールを沈殿剤とする条件のみで結晶が成長したが,バイセル法では,リン酸アンモニウムを沈殿剤とする結晶化条件で,X線回折能を持つ結晶を得た.高分解能構造解析された膜蛋白質に比べ,熱安定性に欠けるmPGES1の熱安定性を向上させ,バイセル法で結晶化するための基盤を確立した.
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Research Products
(3 results)