2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370044
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
的崎 尚 Gunma University, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 蛋白質 / 脳・神経 / 免疫学 |
Research Abstract |
研究代表者は、新たな細胞間シグナル伝達システムであるCD47-SHPS-1系を見出している。SHPS-1とCD47は各々の細胞外ドメインを介して相互作用することにより両方向性にシグナルを伝える。研究代表者は、CD47-SHPS-1系がマクロファージによる貪食機能、神経シナプス機能などの制御において、重要な細胞間シグナル伝達機構であること明らかにしている。そこで、本研究においては、中枢神経機能、免疫機能などにおけるCD47-SHPS-1系の生理的機能と病態への関与をさらに明らかにすることを目的とし検討を行った。その成果を、以下に列記する。 (1)CD47とSHPS-1が膵β細胞に強く発現することを見出した。さらに、SHPS-1KOマウスでは、高脂肪食負荷により耐糖能の異常とインスリン分泌能の低下が観察された。従って、CD47-SHPS-1系が膵β細胞からのイセスリン分泌制御について重要な機能を果たすことが示唆された。 (2)SHPS-1は、獲得免疫系の活性化に重要である樹状細胞にも強く発現する。SHPS-1KOマウスでは、コラーゲン誘導性関節炎(CIA)の発症が著しく抑制されることを見出した。さらに、SHPS-1 KOマウス由来樹状細胞によるCD4陽性T細胞のTh17への分化が障害されていることも明らかにした。 (3)CD47とSHPS-1の結合を特異的に阻害するSHPS-1のモノクロナール抗体を作製した。さらに、この抗体を用いて接触過敏性皮膚炎(CHS)の発症を抑制できることを明らかにした。今後、抗体を用いた治療につきさらに検討を加える予定である。
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