2008 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質シグナリングにおけるPI分子種の意義の解明
Project/Area Number |
20370045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40167987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 貴雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (50361605)
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Keywords | ボスファチジルイノシトール / 脂肪酸転移酵素 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール(PDは細胞の生存、増殖、遊走、細胞骨格制御、小胞輸送など様々な生命現象に関与するリン脂質である。PIはグリセロール骨格の3位にイノシトール環を有しており、イノシトール環のリン酸化により、PI結合タンパク質の活性を時空間的に制御している。このような極性基の特性に加え、PIは脂肪酸鎖部分についても特徴的な構造を持つことが古くから知られている。生体膜を構成する他のリン脂質(例えばボスファチジルコリン)はグリセロール骨格の1位と2位に様々な脂肪酸が結合しており、その組み合わせにより多様な分子種が存在するが、PIに関しては1位にステアリン酸(18:0)、2位にアラキドン酸(20:4)を持つ分子種がほとんどであり、この脂肪酸組成の特異性は種を超えて保存されている。しかしながら、P1にはなぜ特異的な脂肪酸分子種が必要なのか、その破綻がどのような異常や病態を招くのかという問題は全く解明されていない。本研究の目的は、これまで全く解明されてなかったPIの特徴的な脂肪酸分子種がPIの生理機能に対してどのような役割を果たしているのかを、我々が独自に見出した脂肪酸転移酵素LysoPI acyltransferase(LPIAT)の解析を通して明らかにすることである。平成20年度において研究代表者は、LPIATKOマウスを樹立し、LPIATKOマウスが出生1ヶ月以内に致死になることを明らかにした。また、LP1ATモノクローナル抗体を樹立し、本酵素の発現分布をWesternblotならびに組織染色により明らかにした。現在、LPIATKOマウスにおける表現型を臓器レベルで解析している。
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