2010 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトールリン脂質シグナリングにおけるPI分子種の意義の解明
Project/Area Number |
20370045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40167987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 貴雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (50361605)
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / アラキドン酸 / 脂肪酸転移酵素 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール(PI)は、イノシトール環のリン酸化によりPI結合タンパク質を時空間的に制御し、細胞の増殖、遊走、細胞骨格制御、小胞輸送など様々な生命現象に関与するリン脂質である。PIは極性基の特性のみならず、脂肪酸鎖についても特徴的な構造を持つことが知られており、その大部分はsn-1位にステアリン酸(18:0)、sn-2位にアラキドン酸(20:4)を有する。我々は最近、PIの特徴的な脂肪酸組成を規定する分子として、PIのsn-2位にアラキドン酸を導入する脂肪酸転移酵素mboa-7/LPIATを同定した。本研究の目的は、PIにおける特徴的な脂肪酸分子種の生物学的意義をLPIAT欠損個体およびLPIAT欠損細胞を用いて解明することである。 22年度において、線虫変異体を用いた解析から、PIのsn-1位にステアリン酸を導入する脂肪酸転移酵素acl-10/LYCATを新たに同定することに成功した。本酵素の変異体ではPIのsn-1位のステアリン酸が大きく減少しており、他のリン脂質の脂肪酸組成には影響が見られなかった。また、変異体では幹細胞の非対称分裂に異常を来しており、分裂後の娘細胞の運命決定ならびに分裂軸に異常が生じていた。本研究はリン脂質のsn-1位の脂肪酸鎖の生物学的意義を示した初めての知見である。
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Research Products
(11 results)