2009 Fiscal Year Annual Research Report
IL-6/IL-12関連サイトカインによる免疫制御
Project/Area Number |
20370049
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
善本 隆之 Tokyo Medical University, 医学部, 教授 (80202406)
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Keywords | IL-23 / IL-27 / IL-23受容体 / NK細胞 / 抗体依存性細胞傷害活性(ADCC) / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
今年度は、IL-23とIL-6によるTh17分化誘導機構と、IL-27の抗腫瘍免疫の誘導機構について明らかにした。ナイーブCD4^+T細胞はIL-23受容体(R)を発現していないが、IL-6がT細胞受容体を介した刺激と共にナイーブCD4^+T細胞にIL-23R発現を増強しIL-23と相乗的にプライマリーのIL-17産生やTh17分化を誘導し、さらに、これらの効果はTGF-βに対する中和抗体で抑制されることより内在性のTGF-β産生が重要であることを見出した。これは、TGF-βの産生が不十分な時でも、例えば感染などによってIL-6やIL-23が産生されれば、Th17分化が誘導されることを示唆している。また、マウス肝癌細胞株MM45T.Liに対する抗腫瘍効果を調べたところ、IL-12とIL-27は腫瘍接種早期からNK細胞を介して抗腫瘍効果を示したが、IL-23の抗腫瘍効果は後期からCD8^+T細胞を介して見られ、マウス肝癌細胞に対しても3者の抗腫瘍効果の作用機序の違いが明らかになった。このようにIL-27は、抗腫瘍機構の1つとしてNK細胞を介して抗腫瘍効果を示すが、精製したNK細胞に対する直接の作用は弱いことが報告されている。そこで、さらにマウス扁平上皮癌細胞株SCCVIIを用いてNK細胞の関与を詳細に調べたところ、IL-27は直接NK細胞のSCCVII腫瘍に対する細胞傷害活性を増強する能力は低かったものの、そこへSCCVII腫瘍を植えたマウスの血清を加えるとSCCVII腫瘍に対する細胞傷害活性が誘導されることがわかった。我々は、以前にIL-27が直接B細胞に作用してIgG2aへのクラススイッチを増強することも報告しているが、以上の結果よりIL-27がNK細胞を介した抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)により抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。
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