2010 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化修飾のPAPS輸送体制御による統合的機能解析
Project/Area Number |
20370051
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
西原 祥子 創価大学, 工学部, 教授 (00164575)
|
Keywords | 糖鎖 / 硫酸化 / 蛋白質 / 発生・分化 / PAPS輸送体 |
Research Abstract |
硫酸化修飾は翻訳後修飾の一種であり、モルフォゲンの分布の決定やリガンド分子の受容体への結合などに際し、重要な機能を果たしている。2種のPAPS輸送体(PAPST)が存在し、これらは様々な硫酸転移酵素にドナー基質を供給して硫酸化を制御している。本研究では、PAPSTのノックアウトマウスとRNAiノックダウンES細胞を併用して機能解析を行い、硫酸化修飾の役割を明らかにする。本年度は、以下の解析を行った。 1.PAPSTコンディショナルノックアウトマウスの作製 PCR及びサザンブロット解析の結果、PAPST1 floxedマウスが作成できたことが確認された。全身性にCreを発現させヌルマウスを作成したところ、胎生致死となり、中胚葉誘導に異常が認められた。ヌルマウス胚は、アルシャンブルーで殆ど染色されず、硫酸化修飾が顕著に阻害されていた。これらの事実から、マウス胚における中胚葉誘導にPAPST1を介した硫酸化が重要な働きをしていることが明らかになった。 2.PAPST1、PAPST2 RNAiノックダウンES細胞株の解析 作製したPAPST1、PAPST2の安定RNAiノックダウンES細胞株の三胚葉への分化の異常にどのようなシグナルが関与しているか、検討した。ノックダウンES細胞株から胚葉体を誘導すると、中胚葉、内胚葉の分化が抑制され、外胚葉の分化が促進された。ノックダウン胚葉体では、Wnt、BMPシグナルが低下しており、これらが、中胚葉の分化を抑制して外胚葉の分化を促進していることがわかった。この過程には、ヘパラン硫酸とコンドロイチン硫酸の両者が関わっていた。さらに、神経へ分化させたところ、神経分化の阻害に働くWnt、BMPシグナルが低下しているため、ノックダウン細胞株では神経への分化の顕著な亢進が認められた。
|