2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞より単離されたルイスaタンデムリピート構造を持つ糖鎖の構造と機能
Project/Area Number |
20370052
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川嵜 敏祐 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (50025706)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MA Bruce Yong 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (00378788)
川嵜 伸子 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (70077676)
|
Keywords | がん / 糖鎖 / 先天性免疫 / 動物レクチン / 臨床試料 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
研究代表者らは以前、血清レクチンMBPはヒト結腸がん細胞の増殖抑制作用を持つことを動物における遺伝子治療実験により示している。そこで、本年度は細胞表面のMBPリガンドが新規な腫瘍マーカーとなる可能性を調べた。すなわち、30株のヒト腸がん由来の株化がん細胞(SW1116, SW480, LS180, COLO205, SUN503, WiDr, NCL-H498など)および、ヒト大腸がん組織切片(134例)についてMBPリガンドの発現を免疫組織化学的方法により検討した。方法はまず、スライドを1%BSAでブロッキング後、ヒト血清より精製したMBPを加え30分インキュベートした。洗浄後、抗ヒトMBP mAbと30分インキュベートし、Alexa488 anti-mouse IgG1とTO-PRO3を加え、さらに30分インキュベートしたのち、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果、ヒト腸がん由来の株化がん細胞では、株により程度の差はみられたものの全ての細胞株においてMBPリガンドの発現が示された。また、市販品として購入したヒト大腸がん組織切片(99例)および、滋賀医科大学消化器内科および外科の協力のもとにヒトがん患者より得られたがん組織および周辺非がん部のパラフィン固定化組織切片について、同様の方法によりMBPリガンドの発現を検索した。その結果、非がん部の組織および正常組織においてはMBPリガンド糖鎖の発現は見られず、MBPリガンド糖鎖は腫瘍組織にのみ発現が観察された。以上の結果は、MBP糖鎖リガンドが新たな腫瘍マーカーとしてがん診断・治療に結びつく可能性を示している。
|