2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内カルシウム濃度変動の時空間パターン形成の分子機構の解析
Project/Area Number |
20370054
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
道川 貴章 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生神経生物研究チーム, 副チームリーダー (90282516)
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Keywords | イノシトール三リン酸 / イオンチャネル / カルシウム |
Research Abstract |
イノシトール1,4,5三リン酸(IP_3)結合により開口するCa^<2+>放出チャネルであるIP_3受容体は、アミノ末端近傍にIP_3結合コアを、カルボキシ末端近傍にチャネル孔を形成する6つの膜貫通領域を持つ。IP_3結合コアのさらにアミノ末端側の領域(1-225残基)を欠失させると、野生型受容体に比べ10倍以上高いIP_3結合親和性を示すにもかかわらず完全にCa^<2+>放出活性が消失することから、アミノ末端側の225残基はIP_3結合サプレッサーとして働くだけでなく、IP_3結合によるチャネル開口の誘導に必須な領域であると考えられてきた。本研究では、アミノ末端側225残基によって担われている2つの機能(IP_3結合抑制とチャネル開口誘導)の関係を明らかにするために、X線結晶構造解析によって明らかにしたアミノ末端側225残基の3次元構造をもとにさまざまな変異IP_3受容体を作成し、IP_3結合活性およびIP_3誘導Ca^<2+>放出活性を測定した。その結果、IP_3結合抑制とチャネル開口誘導はそれぞれ別のアミノ酸残基によって担われており、基本的に両者は独立の機構であることが明らかとなった。さらに、今回新たに同定したチャネル開口誘導に必須なアミノ酸残基に点変異を加えた受容体に加え、4番目と5番目の膜貫通領域の間の細胞質側領域を欠失させた受容体や2613番目のシステイン残基に点変異を加えた受容体などのCa^<2+>放出活性を示さないことがわかっている変異受容体では、チャネル形成領域を含むカルボキシ末端側領域のトリプシンによる分解が促進されることを見いだした。以上の結果から、アミノ末端側225残基からなる領域はチャネル形成領域の構造に影響を与え、IP_3結合によるチャネル開口を誘導していると考えられた(投稿論文準備中)。
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