2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 陽子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40158043)
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Keywords | 微小管 / ダイニン / 複数分子 / 分子間協同性 |
Research Abstract |
細胞運動にかかわるモータータンパク質のうち、もっとも複雑な構造をもち、かつ高次機能を有するダイニン分子の運動機構を明らかにすることを目標として、ダイニンの運動計測を行ない、複数の頭部の変位、結合力、形態を調べ、複数頭部間の協同性の実態を明らかにすることを試みた。 出芽酵母由来の細胞質ダイニンは、1分子でも微小管上をprocessiveに運動するが、高等動物の脳に由来する細胞質ダイニンは、光ピンセットを用いたビーズの計測系ではporcessiveの運動を示したが、全反射顕微鏡による1分子観察系では微小管のマイナス端に一方向に移動するprocessiveな運動が観察されていない。この脳由来の細胞質ダイニンの運動の実態を詳しく調べるために、ヒト培養細胞(HEK)を用いたダイニン分子の発現系を研究室内に確立した。そして、ダイニンの可視化のための蛍光色素用のタグ(SNAP)と、ダイニン分子を複数結合させるための接着用タグ(BCCP)をつけた中間鎖を構築した。これらの遺伝子を同じHEK細胞に導入して2種のダイニン中間鎖を発現させ、それらを1モルずつ含むダイニン分子を精製した。 さらに、モータードメイン間の距離を人為的に変調させたダイニンの運動活性を調べるために、2つのモータードメインをつなぐためのタンパク質を作製した。長さと堅さを考慮して、αヘリックスの安定型アンティパラレルコイルドコイル構造(長さ約5nm)をデザインし、その両端にはダイニンモータードメインを結合するためにシステイン残基を導入し、このタンパク質を大腸菌で発現させることができた。酵母ダイニンのモータードメインのN末端側にSNAPタグを導入し、モータードメイン側の接着部を準備した。 現在、これらのタンパク質を精製し、目的の分子が得られているかの確認を行っており、今後、全反射顕微鏡(TIRF)による1分子運動観察を行なって解析を進める。
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Research Products
(3 results)