2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 陽子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40158043)
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Keywords | ダイニン / 微小管 / 分子モーター / zincシート / プロセッシビティー / 歩行モデル |
Research Abstract |
ダイニンは非常に巨大で複雑な双頭構造をもつが、そのモータードメインの直径より小さい8nmのステップを刻んで、微小管上をプロセッシブに進むことが知られている。ダイニンが2つの頭をどのように協調させて運動を行っているのかを明らかにすることを目標に、複数頭部間の協同性の実態を調べた。 1分子で微小管上をプロセッシブに運動することが知られている酵母ダイニンの人工ダイマーを用いて、足場となる微小管上のトラックを限定した場合の運動を調べた。亜鉛の存在下で重合させたチューブリンは、ダイニンの結合領域であるβチューブリンのヘリックス12領域が1本のプロトフィラメント上にのみ露出するように重合したシート状のポリマー構造をつくる。このzincシート上で酵母ダイニン人工ダイマーの運動を全反射顕微鏡で観察したところ、微小管上と同様な速度(約50nm/s)で一方向にプロセッシブに運動することがわかった。このことは、ダイニン分子の双頭は、チューブリンが1列に並ぶ1本のプロトフィラメントという細いトラックの上を、互いの頭部が構造的にぶつかり合って邪魔をするようなことなく、連続的に一方向に進むことができることを意味する。運動速度が同じことから、微小管上でも1本のプロトフィラメントをたどるような運動をすることが示唆される。あるいは数本のプロトフィラメントにまたがる、もしくは規則的な歩みをせずにランダムに前進しているとしても、前進の速度に影響を与えないように双頭間の協同性が維持されているものと考えられる。 さらに、ヒト培養細胞においてヒト細胞質ダイニンの人工ダイマーを作製し、微小管上で1分子プロセッシビティーがあることを明らかにした。この系を発展させて、双頭間の距離を制御したダイニンの運動性を調べるために、ヒト細胞質ダイニンのモノマーに特異的結合のためのSNAPタグを導入し、SNAPの基質となるベンジルグアニンを両端に標識した一連の長さのDNAを用意し、その複合体を作製した。
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Research Products
(13 results)