2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今元 泰 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80263200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
山下 高廣 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50378535)
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Keywords | フォトクロミズム / G蛋白質共役型受容体 / 構造変化 / 蛋白質工学 / ペプチド / αヘリックス / 立体構造 / ロドプシン |
Research Abstract |
モデルペプチドの両端をアゾベンゼンリンカーで結合すると、アゾベンゼンリンカーの異性化状態によってαヘリックス構造とランダムコイル構造を切り替えることができる。そこで、モデルペプチドに結合させるアゾベンゼンリンカーのストイキオメトリーを変化させて、より効率よく光でαヘリックスを制御できるかどうかを検討した。モデルペプチドの2ヶ所のシステインにそれぞれ1つのリンカーが結合した複合体では、アゾベンゼンの異性化は起こるが、二次構造はアゾベンゼンの異性化状態に関わらずαヘリックス構造を持っていることがわかった。アゾベンゼンを結合していないペプチドはランダムコイル構造をもつので、複数のアゾベンゼンの結合することでαヘリックス構造が生成したと考えられる。2ヶ所のシステインの位置は、αヘリックスの1回転分に相当する。アゾベンゼンリンカーは、フェニルアラニンやトリプトファンなどの天然の芳香性アミノ酸残基よりも長いので、1回転分の距離にありながら疎水的なスタッキングを起こし、αヘリックス構造を安定化したと考えられた。 次に、アゾベンゼンリンカーによる構造制御を蛋白質にも応用するため、5番目のαヘリックス(α5)の両端をアゾベンゼンリンカーで結合したPhotoactive yellow protein(PYP)の光反応を解析した。活性中間体からの戻り反応の速度が2相性になったことから、活性中間体は2つのコンフォメーションをもつと考えられた。アゾベンゼンリンカーを紫外光でシス型にした場合と青色光でトランス型にした場合とで反応速度を比較したところ、アゾベンゼンリンカーの異性化状態によって、2つのコンフォメーションの比率が変わることがわかった。このことから、アゾベンゼンによる蛋白質の構造制御の可能性が示された。
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