2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370064
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
米倉 功治 独立行政法人理化学研究所, 米倉生体機構研究室, 准主任研究員 (50346144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞木 さおり 独立行政法人理化学研究所, タンパク質結晶構造解析研究グループ, 研究員 (20513386)
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Keywords | 構造生物学 / イオンチャネル / べん毛モーター |
Research Abstract |
細菌べん毛は、細胞膜を透過するイオンの流れをエネルギーとして回転する生体超分子モーターであり、約25種類以上の異なった蛋白質から構成される。現状では、その回転の機構はほとんどわかっていない。本申請研究では、イオン流のモーター回転力への変換を担う細胞膜中のナトリウムチャネルPomABの三次元構造を、低温電子顕微鏡法、X線結晶回折法により高分解能で解析し、回転機構の解明に繋げることを目標にしている。 昨年度に引き続きPomAB複合体の発現系を改良して得た結晶から、SPring-8において放射光を使ったX線回折実験を行った。現在、結晶の改善のため、種々の条件検討を進めている。同時に進めているホモログ蛋白質の結晶からは中分解能領域の回折点が測定できており、現在、結晶性の改善を行っている。一方、電子顕微鏡法による解析では、単分散したPomABの単粒子解析とトモグラフィーにより三次元構造を解析し、論文に発表した(Yonekura et al,J.Bacteriol,2011)。本結果は、細菌のイオン共役型のエネルギー供与を担う膜蛋白質の初の三次元構造の報告であり、Journal Highlightsに選出されるなどの評価を得ている。現在、低温電子顕微鏡法により生理的な環境に近い状態の構造を、より高い分解能で解析するべく、条件の検討、構造解析プログラムの改良を進めている。また、本研究によりセットアップした装置、システムを利用して、PomAB/MotABを透過するイオン流を利用するべん毛モーターの輸送システム等の構造解析を行った。 今後、低温電子顕微鏡法、X線結晶構造解析法の両者を相補的に用いて、イオン流のモーター回転力への変換機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PomAB及びホモログ蛋白質の結晶を作成し、高分解能の構造解析の目標に近づいたと考えられる。また、電子顕微鏡による生体高分子構造解析システムのセットアップを完了し、三次元構造を解析、論文に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
低温電子顕微鏡法、X線結晶構造解析法の両者を相補的に用いて、イオン流のモーター回転力への変換機構の解明を目指す。結晶解析では、結晶の改善と共に位相情報の取得に向け、重原子置換体、SeMet誘導体の調製を行う。電子顕微鏡法では、氷包埋像の収集、構造解析プログラムの改良を進めてより高い分解能での三次元構造の解析を行う。同時に、ホモログ蛋白質を構造解析し、いろいろな系においてイオン流のエネルギー変換機構に関する構造学的な理解を深める。
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Research Products
(5 results)