2010 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロニンGroELの第二のATP結合部位とその機能的役割
Project/Area Number |
20370066
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
桑島 邦博 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (70091444)
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Keywords | 生物物理 / 分子機械 / 分子認識 / 生体分子 / 蛋白質 / 分子シャペロン / アロステリック転移 / シャペロニン |
Research Abstract |
蛋白質の細胞内フォールディングを介助する分子シャペロンとして知られる、大腸菌のシャペロニンGroELには、本来のATP結合部位の外に第二のATP結合部位の存在することが、われわれの最近の研究により明らかとなりつつある。本研究では、この第二ATP結合部位を、蛍光エネルギー移動、光親和性標識、質量分析、アミノ酸配列分析、ストップトフロー蛍光法、滴定型熱量計などの手法を用いて同定する。昨年度までの研究で、アジ化ATPアナログによる光親和性標識と蛋白質分解酵素などによって、Tyr360が第二ATP結合部位の近くにあることが示唆された。また、GroELのアロステリック転移は溶液中のK^+濃度に大きく依存し、K^+非存在下低温(5℃)ではアロステリック転移もATP加水分解活性も停止するため、滴定型熱量計やストップトフロー法を用いてATP結合の熱力学と速度論を調べることが出来る。 そこで、22年度は,蛍光ストップトフロー法を用いてGroELにトリプトファン残基を導入した変異体(Y485W)のATP-Mg^<2+>結合過程を測定した。K^+非存在下で,ATP-Mg^<2+>の結合に伴う蛍光強度変化が観察された。この反応は二分子反応として良く表され、結合と解離の反応速度定数を決定することが出来た。これらの速度定数から求められた結合定数は、等温滴定型熱量計により決定した結合定数と一致した。結合速度定数のアイリングプロットから求めた活性化エンタルピーは14-15kcal/molと十分大きいので、ATP-Mg^<2+>のGroELへの結合は、拡散律速的な遭遇複合体形成の後、高エネルギーの遷移状態を通って進行することが分かった。
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Research Products
(6 results)