2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名川 文清 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (10241233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西住 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (30292832)
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Keywords | 遺伝子再編成 / 抗原受容体遺伝子 / VLR / 無顎類 / 進化 / 獲得免疫 |
Research Abstract |
VLR遺伝子再編成がどの様に制御されているのかについては、ヤツメウナギを含め不明の点が多く残っている。本研究課題で我々は、ヌタウナギのVLR遺伝子の再編成を、VLR_AとVLR_B更にそれぞれのalleleを区別し、single-cell PCRを用いて解析した。また、転写に関してもsingle-cell RT-PCRにより解析した。その結果、ヌタウナギにおいても、VLR_AとVLR_Bとは相互排他的に遺伝子再編成および転写することが判明し、リンパ細胞にはVLR_Aを発現するものとVLR_Bを発現するものの2種類が存在することが明らかとなった。また、alleleの間における制御に関しては、VLR遺伝子再編成のシステムにおいてもV(D)J組み換えと同様に、feedback阻害によって、リンパ細胞において単一の抗原受容遺体が発現するようになっていることが示唆された。すなわち、リンパ細胞が抗原受容体遺伝子を再編成により完成させ、機能的な受容体タンパク質が作られると、もう一方のalleleの遺伝子再編成を阻害するシステムが無顎類においても存在する事が示唆された。ヤツメウナギのVLR遺伝子の再編成においてallelic exclusionが存在することはすでに我々のグループが明らかにしていたが、本研究では、更にこの調節がfeedback阻害によるものであることを示した。本研究で得られたこれらの結果は、single-cell PCRを用いて解析することにより初めて得ることの出来るものであり、VLR遺伝子再編成もV(D)J組み換えと同様に極めて巧妙に制御されている事を示している。また、本研究で材料として用いたヌタウナギはヤツメウナギよりさらに下等な生物であると考えられており、ヌタウナギに於けるVLR遺伝子再編成の解析は、免疫系の進化を考える上で重要であると考えられる。
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