2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写・RNAプロセシング・輸送の機能的連携と統合による遺伝子発現調節機構の解明
Project/Area Number |
20370070
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷 時雄 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80197516)
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Keywords | スプライシング / RNAプロセシング / 転写 / mRNA輸送 / 遺伝子発現制御 / 分裂酵母 / 核 / mRNA 3'末形成 |
Research Abstract |
遺伝子の転写・pre-mRNAスプライシング・mRNA核外輸送など、従来は個別に研究されてきた諸反応が、生体内では互いに連携もしくは共役しながら進行していることが近年明らかになりつつある。本研究では、その連携機構について分子レベルでの解明を目指している。現在までの解析で、分裂酵母mRNA核外輸送変異株ptr7の原因遺伝子がmRNAの3'末形成複合体因子をコードしていることを明らかにしたので、本年度は、ptr7変異のサプレッサーを分離し、Ptr7pと機能的に相互作用する因子の同定を行った。その結果、サプレッサーとして、ysh1遺伝子が同定された。更に、ysh1サプレッサーの変異部位同定を行った。Ysh1pは3'末形成複合体を構成する因子の一つとして知られていることから、Ptr7pと相互作用することで、mRNA3'末形成反応に加えて、mRNAの核外輸送過程にも関与している可能性が示唆された。また、mRNA核外輸送変異株ptr8において、セントロメアのヘテロクロマチン形成に異常があることを、ChIP解析やura4レポーター遺伝子を用いたサイレンシングアッセイによって明らかにした。今後の解析により、染色体を不活性な状態に保つヘテロクロマチン形成に、mRNA核外輸送関連因子が関与する新しい細胞内連携機構が明らかになることが期待される。また、mRNA核外輸送変異ptr9やptr10が、転写とmRNA核外輸送のカップリングを行うTREX2の構成因子Suslpの過剰発現によって、抑制されることを明らかにした。これらの結果は、Ptr9pとPtr10p<膜結合蛋白質>がTREX2複合体を介してmRNA核外輸送過程に関与している可能性を示唆している。
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