2008 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIDを介した転写開始反応及びその調節機構の解明
Project/Area Number |
20370071
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 教授 (10271587)
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Keywords | 転写調節 / 転写因子 / 基本転写因子 / 転写開始 / 出芽酵母 / TFIID / TAF / TBP |
Research Abstract |
TATAボックス/イニシエーター等のコアプロモーター構造を認識する基本転写因子TFIIDは、転写開始前複合体のアッセンブリーに際して核となる分子であり、転写調節因子から受け取った信号を転写量の増減へと変換する上で中心的な役割を果たす。これまでに多くの研究が行われてきたにもかかわらず、TFIIDがどのようにして転写開始点近傍のコアプロモーター配列を認識し、特定の塩基対からの転写を誘導するのか、その分子機構の詳細は依然として不明のままである。今回我々は、全遺伝子の約80%を占めるTATA-lessプロモーターにおけるTFIIDの役割を明らかにすることを主な目的とし、出芽酵母由来の複数のプロモーターに関して詳細な機能解析を行った。その結果、少なくとも出芽酵母のコアプロモーターは、(1)転写開始前複合体形成の核となる配列、(2)転写を開始する配列、(3)転写を開始できない配列、(4)転写開始が可能な領域、という四種類の機能要素から構成されることが明らかとなった。各遺伝子は(1)〜(4)の機能要素を適宜組み合わせることにより、自身の制御に都合の良い転写開始点を選択しているものと考えられる。またおそらくTFIIDは機能要素(1)を、RNAポリメラーゼIIを含むその他の因子は機能要素(2)を認識するものと推測される。従来出芽酵母における機能要素(1)としてはTATAボックスのみが知られていたが、今回我々は複数の新規の機能要素(1)を同定することに成功した。現在はこれらの知見に基づき、出芽酵母における転写開始機構として近年提唱されているスキャニングモデルの検証を進めている。
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