2010 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIDを介した転写開始反応及びその調節機構の解明
Project/Area Number |
20370071
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (10271587)
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Keywords | 転写調節 / 転写因子 / 基本転写因子 / 転写開始 / 出芽酵母 / TFIID / TAF / TBP |
Research Abstract |
TATAボックス/イニシエーター等のコアプロモーター構造を認識する基本転写因子TFIIDは、転写開始前複合体のアッセンブリーに際して核となる分子であり、転写調節因子から受け取った信号を転写量の増減へと変換する上で中心的な役割を果たす。これまでに多くの研究が行われてきたにもかかわらず、TFIIDがどのようにして転写開始点近傍のコアプロモーター配列(CE)を認識し、特定の塩基対からの転写を誘導するのか、その分子機構の詳細は依然として不明のままである。そこで我々は、全遺伝子の約80%を占めるTATA-lessコアプロモーターにおけるTFIIDの役割を明らかにすることを目的とし、出芽酵母由来の代表的なTATA-less遺伝子であるRPS5のコアプロモーターに関して詳細な機能解析を行った。その結果、本コアプロモーターには少なくとも9個以上のA,Tに富む短い塩基配列が重複した機能を有するCEとして含まれていることが明らかとなった。また各CEには配列特異性はなく、転写の方向性についてもその特異性は低いものであったが、全体としては強い転写方向性を示したことから、これらのCEは複数個が協調的に働くことでTFIIDの認識配列としての機能を発揮するものと考えられた。一方、TFIIDがこれらのCEを特異的に認識するためには、上流側直近のプロモーター配列(IVR)にHMGB型転写因子Hmolpが複数個結合する必要があることを明らかにした。HmolpはTFIIDとも特異的に相互作用する転写因子であることから、RPS5プロモーター上には、Raplp-Hmolp-TFIIDを主成分とする転写因子複合体が形成され、正確な部位からの転写開始を誘起するものと考えられる。
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