2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370084
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小椋 利彦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)
|
Keywords | T-box転写因子 / MKL2 / 機械的刺激 / 心拍 / 血流 / 力刺激可視化 |
Research Abstract |
Tbx5はMKL2によって強力に活性化され、標的であるAnf遺伝子の転写を強く誘導する。しかしながら、MKL2は非刺激状態では細胞質にある。MKL2が細胞質から核内に移行してTbx5を活性化する刺激として、細胞/組織への力学刺激を同定した。MKL2はゼブラフィッシュにおいて、心筋細胞では心拍依存的に核内に移行する。また、マウスでは大動脈結紮による左心室圧負荷によっても核移行を示す。また、培養細胞では、伸展刺激によって核移行を起こすことができる。このことから、Tbx5の転写因子としての活性は、細胞/組織への力刺激が重要であり、また胎仔/成体心臓においては心拍、血圧などの力学的要因が関与していることがわかった。 MKL2は、Tbx5以外にもSRFも活性化することが既に報告されている。このことは、力刺激依存的な発現を示す遺伝子が、Anf以外にも存在することを示唆している。この可能性を確かめるため、力依存的な発現を示す遺伝子を探索し、複数同定した。とくに、miR-143、miR-21はゼブラフィッシュの心臓において、それぞれ大動脈管、房室弁に限局して発現するが、両者とも心拍/血流を止めると発現が消失し、再開させると速やかに発現が回復することがわかった。miR-143、miR-21のプロモーター/エンハンサー部位にはSRF結合部位が存在し、MKL2と強調して発現誘導することも確かめた。また、このようなプロモーター/エンハンサーを用いて力刺激に対する遺伝子発現を可視化することも可能となった。 以上、Tbx5を糸口に、力刺激に対する反応の一端をMKL2をモデルとして明らかにした。
|