2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370089
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
太田 訓正 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (90244128)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医学 / Tsukushi / Wnt |
Research Abstract |
私たちは、ニワトリ胚のレンズを用いたシグナルシークエンストラップ法を行い、新規分泌型タンパク質Tsukushiを単離しました。今までの結果から、Tsukushiは細胞外領域において、シグナル伝達経路間の情報を仲介する因子であること考えられています Tsukushiが動物種を超えて網膜幹・前駆細胞が局在する領域(トリやカエルでは毛様体辺縁部、ヒトやマウスでは毛様体と呼ばれている)に発現し,その増殖をWntシグナル阻害因子として制御することが明らかにしました。マウスの成体脳において、Tsukushiは神経幹細胞が局在する成体側脳室下帯や海馬・歯状回において強く発現しています。様々なマーカー分子を用いた免疫染色法やBrdU取り込み実験により、Tsukushi遺伝子欠損マウス(Tsukushi遺伝子のエキソン領域をLac-Zと入れ替え)では野生型マウスと比べて細胞の増殖が亢進していたことから、Tsukushiは神経幹細胞の増殖を制御していることが示唆されました。さらに、成体TsukushiヘテロマウスのLac-Z染色により、Tsukushiは毛の幹細胞が局在するバルジ領域と毛乳頭と呼ばれる領域に発現していることが明らかになりました。毛の幹細胞の増殖もWntシグナルによって制御されていることが明らかになっています。これらの解析結果から、Tsukushiは外胚葉由来の幹細胞の未分化性維持に関わるニッチ分子として、細胞外領域においてシグナル伝達を調節するシグナル仲介因子であることが示唆されました。
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