2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370093
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 啓 北里大学, 理学部, 助教 (50458767)
|
Keywords | 性決定 / 性決定遺伝子 / 両生類 / 脊椎動物 / 生殖巣 / 発現ヒエラルキ / ブロモーター / 卵巣 |
Research Abstract |
本研究は、脊椎動物の性決定・性分化システムを分子レベルで比較解析し、そのシステム進化を議論・提案する事を目的としている。3年目である本年度は、2年間の成果を受け、以下の解析・考察を行った。1.雌ヘテロ (ZZ/ZW) 型の性決定様式を持つアフリカツメガエルの解析: 遺伝子導入動物の解析から、ZZ個体ではDMRT1遺伝子が雄決定に、ZW個体ではW染色体上のDM-W遺伝子が雌決定に関わることがわかった(Development 2010)。2.性(雌) 決定遺伝子DM-Wの分子進化の考察: 構造解析および分子進化等の解析から、DM-W遺伝子は、アフリカツメガエルの祖先種において、ZZ/ZW型性決定機構を確立させるために、DMRT1遺伝子の重複によって新たに生まれた新機能付加型遺伝子と考えられる(Development 2010)。3.脊椎動物の性決定システム進化の考察: 性決定システムの基盤として、脊椎動物種の多くにDMRT1依存性の雄化システムが存在するのに対し、哺乳類進化過程で、SRY-SOX9依存性の雄化システムに再構築された可能性が考えられる(Deve lopment 2010)。3.脊椎動物におけるDMRT1遺伝子の考察:DMRT1遺伝子は、体細胞における雄決定と、雄生殖細胞における幹細胞維持、という大きく2つの機能に関与すると考えられるが、前者の機能は、哺乳類 (真獣類) 進化過程で寄与が薄れてきた可能性がある (FEBS J.2011)
|