2009 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質復元に基づく古細菌、真正細菌、全生物の共通祖先の研究
Project/Area Number |
20370094
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山岸 明彦 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (50158086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横堀 伸一 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (40291702)
赤沼 哲史 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (10321720)
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Keywords | 祖先型酵素 / 全生物の共通祖先 / ジャイレース / IPMDH / グリシルtRNA合成酵素 / 古細菌 / 真正細菌 / 超好熱菌 |
Research Abstract |
【DNAジャイレースBサブユニット】 以前推定した祖先型アミノ酸配列中の一部にギャップの扱いに誤りがあることに気づいた。この誤りを修正し、新しい祖先型アミノ酸配列をコードする遺伝子を合成した。遺伝子を大腸菌内で発現、精製した。祖先型DNAジャイレースBサブユニットの1段階目の変性中点は約66℃、2段階目は約82℃であった。1段階目はC末端ドメインの変性、2段階目はN末端ATPaseドメインの変性に対応していると思われる。 【イソプロピルリンゴ酸脱水素酵素(IPMDH)】 全生物共通の祖先型IPMDNのアミノ酸配列を推定し、その配列をコードする遺伝子を人工合成した。その遺伝子を大腸菌内で発現させ、精製した。耐熱性を測定したところ、変性中点温度は約55℃であった。ただし、この祖先型IPMDHの活性は見られなかった。現存IPMDHのマルチプルアライメントを見直したところ、アライメントの正確性に疑問が残る箇所が見られた。そこで、マルチプルアライメントの修正を行い、祖先型アミノ酸配列を推定しなおした。この修正した配列をコードする遺伝子を合成した。 【ヌクレオシドニリン酸キナーゼ(NDK)】 古細菌祖先型NDKと真正細菌祖先型NDKはどちらも高い耐熱性を示すが、古細菌祖先型NDKの変性温度が約113℃であるのに対し、真正細菌祖先型NDKは約100℃と13℃異なる。しかし、2つの祖先型NDKのアミノ酸配列を比べるとわずかに12残基が異なるのみである。そこで、真正細菌祖先型NDKの古細菌祖先型NDKと異なっているアミノ酸部位に、古細菌祖先型アミノ酸を導入した12個の1アミノ酸置換体を作製し、その耐熱性を測定した。その結果、12改変体のうち真正細菌祖先型NDKよりも耐熱性が損なわれたのは一つのみで約4℃変性中点温度が低下した。残りの改変体のうちの6つは耐熱性に変化がなく、5つは3~5℃程度耐熱性が上昇した。このことから、真正細菌祖先型NDKと古細菌祖先型NDKの13℃の耐熱性の違いには、2つの祖先型酵素間で異なっているアミノ酸のうちの約半分が寄与していることが示された。
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