2008 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア人の二層構造の解明:ベトナム・マンバック遺跡からの人類学的アプローチ
Project/Area Number |
20370096
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 博文 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (70209617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (30131923)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
百々 幸雄 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (50000146)
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90409582)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
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Keywords | 国際研究者交流 / ベトナム / 東南アジア / マンバック / 新石器時代 / 人骨形態 / DNA / 安定同位体 |
Research Abstract |
本研究は、ベトナムのマンバック遺跡(3800年前)から出土した人骨と文化遺物を中心に、形態人類学、分子人類学、考古学を総合した学際的研究により、東南アジア人が中国由来の稲作モンゴロイドと先住のスンダランド人の系譜の異なる2つの人類集団の混血によって形成されたとする「二層構造」モデルの再構築をめざすものである。平成20年度は、マンバック遺跡の90体の人骨と動物骨および土器等の文化遺物の整理、復元作業を各分担者がベトナム、ハノイの考古学院に出張して行った。松村と百々は人骨の復元と系統解析のための形態データを採取した。すでに復元済みの20体ほどについてはデータ解析の結果を論文にまとめており、2系統の集団が混在していることをつきとめている。篠田は人骨から歯を抜き取り、PCR法によるミトコンドリアDNA分析を手がけており、うち20数体分の抽出に成功しており、南北アジア人のタイプをみいだしている。米田は同じく骨片を採取し、炭素と窒素の同位体比を測定による食性分析をおこない、日本の弥生人と同傾向であるという結果を得つつある。山形は土器、石器等の考古遺物の整理作業をおこない、近隣の稲作開始期のフングエン文化と平行することをつきとめている。澤田は出土した動物骨の同定作業をおこなっており、イノシシの家畜化の存在を実証しつつある。連携研究者のOxenhamらは、この集団の古病理学的分析を開始し、骨形成不全などの症例を学会や論文での公表をはじめている。山形、篠田、松村は比較のため同じ新石器時代の南部のロンアン遺跡などの資料調査も実施した。松村はさらに比較データ収集のため、台北で台湾先住民と中国殷時代安陽、パリ人類博に保管されている先史から現代の東南アジア各地の集団の調査を行った。ハノイではワークショップを開催し、各分担者と協力者が本プロジェクトの展望について発表し、相互に問題の認識を確認した。
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Research Products
(9 results)