2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア人の二層構造の解明:ベトナム・マンバック遺跡からの人類学的アプローチ
Project/Area Number |
20370096
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 博文 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (70209617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (30131923)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 客員教授 (50000146)
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90409582)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
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Keywords | 国際研究者交流 / ベトナム / 東南アジア / マンバック / 新石器時代 / 人骨形態 / DNA / 安定同位体 |
Research Abstract |
本研究の中心的資料であるMan Bac遺跡の人骨については整理と記載がほぼ終わっている。文化遺物の整理作業は順調に進んでいるが数が膨大なため、発掘報告書の完成に向けての作業は次年度までかかる。各種分析については2007年発掘資料も含めた研究を実施し、形態学的研究からはヒト集団の変遷期に位置づけられる集団であることが解明された。東南アジアの二層構造モデルは、中国南部や台湾を起点として、北方からはオーストロアジア語族と南シナ海の島嶼部を経て移住してきたオーストロネシア語族の拡散が考えられており、この地域の人類集団の成立も単純な二層的なものではない可能性が示唆されている。この仮説の検証をすすめるため、本年度はMan Bac遺跡以外の比較のための先史人骨としてベトナム中南部のHoa Diem遺跡、An Song遺跡、フィリピンのNagsabaran遺跡の調査に参加し、いずれも南シナ海回りの拡散過程を明らかにするための重要な人骨資料を得た。これらの分析は次年度に持ち越される。その他、フランス人類博物館にあるベトナムの新石器前半の人骨から形態小変異の比較データを収集し、Man Bacが新たな移住集団であることを示唆する結果が得られた。ミトコンドリアDNAについては前年度サンプリングしたMan Bac資料の解析を終え、同様の結論に至っている。本年はラオスの現代人、ベトナム南部のAn Son遺跡のmtDNAデータも比較資料としてサンプルを得た。安定同位体による食性分析についてはMan Bac集団は形態の異なるものとの間には差は認められなかった。他の遺跡とは異なる傾向があり、解釈をすすめている最中である。動物骨については魚骨の同定がほぼ終了した。哺乳動物については次年度までかかる見込みである。22年度の計画にあったIPPA国際学会は今年度に繰り上げ開催されたので2題の演題を発表した。
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Research Products
(11 results)