2010 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア人の二層構造の解明:ベトナム・マンバック遺跡からの人類学的アプローチ
Project/Area Number |
20370096
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70209617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (30131923)
米田 穣 東京大学, 新領域創生科学研究科, 准教授 (30280712)
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 客員教授 (50000146)
山形 眞理子 昭和女子大学, 国際文化研究所, 研究員 (90409582)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
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Keywords | 国際研究者交流 / ベトナム / 東南アジア / マンバック / 新石器時代 / 人骨形態 / DNA / 安定同位体 |
Research Abstract |
東南アジア人の形成に関する二層構造モデルの仮説を検証するため、マンバック遺跡から出土した人骨を中心に、形態学的、分子人類学的、考古学的な総合研究をおこない、先史時代のこの地域にヒト集団の置換や混血が実際におこったのかを検証した。その結果、まず考古学的分析からは、年代測定の結果3800-3500BPの値が得られ、この遺跡が近隣の稲作の証拠が明白なフングエン文化に属することが確実となった。頭骨や歯の形態学的研究では本年度は比較集団としてメラネシアとベトナム鉄器時代のデータを充実させた。その解析から東南アジアの新石器時代以前の集団は、メラネシア集団とともに、初期のホモサピエンスの系譜であることが示唆され、マンバックや後の鉄器時代の集団には、新たに中国南部から移住してきた人々が多数混在していることが明らかになり、この時期を境にヒトの系譜の二層構造が実在することが確実となった。またサンプリングした歯からミトコンドリアDNAの抽出にも成功し(篠田)、この集団から現代の北部ベトナム人と共通のハプロタイプが多数含まれることから、農耕開始期には現在に繋がる遺伝的な組成が完成していたことも示唆された。安定同位体元素による食性分析では日本の縄文から弥生への移行と同様の変化が示された。動物考古学的分析(澤田)では、家畜化されたイノシシの存在が明らかになり、この集団の生業が解明された。本研究資料の中心であるマンバック遺跡の人骨の整理と記載、各種分析は予定どおり遂行され、平成23年に分析結果を掲載した英文の研究報告書がキャンベラのANU-Pressから出版されることとなった。
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Research Products
(11 results)