2008 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系反応と中枢神経系反応から見たヒトの精神的ストレス適応能
Project/Area Number |
20370097
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩永 光一 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (70160124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 美和 千葉大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70408722)
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Keywords | 生理人類学 / 精神ストレス / 適応能 / 認知的ストレスモデル |
Research Abstract |
1.暗算課題と騒音暴露をストレスモデルとして実験を行い、被験者の心血管系反応と中枢神経系反応の計測を行った。実験の結果、暗算課題による認知的ストレスと騒音暴露による情動的ストレスを比較した場合、特に、心血管系反応の経時的な変化に違いが見られ、両者に対する適応能に異なる特徴がある可能性が確認できた。また、これらの実験データを踏まえて考察を行い、ヒトの知性発達の生理人類学的メカニズムについて仮説を堤案した。仮説では、ヒトの進化の過程における認知的精神活動が大脳皮質の巨大化を促進した一因であると捉え、その生理学的メカニズムとして、認知的精神活動時の全身的な血液動態の変化が大脳皮質での情報処理に伴う酸素需要の増大に対応して変化することを示した。ヒト脳の巨大化については諸説が報告されているが、その生理学的なメカニズムに関する説はほとんど知られていない。提案した仮説については英文書籍として発表予定であり、執筆は完了し現在印刷中である。 2.より実生活に即した認知的ストレスモデルとして、人間の時系列的な認知情報処理を伴う実験用タスクモデルをプログラミングした(Microsoft Visual Basic2008を利用)。実験用タスクとして、現代の人間-システム系において人間が果たす主要な役割を考慮し、連続的に変化する複数のパラメータから異常値を検出する計器監視タスクを選定した。計器が異常値を示してから被験者が対応操作を行うまでの反応時間を、ログとして記録できるものとした。
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