Research Abstract |
光の質と個人特性が生理機能に及ぼす影響について明らかにすることを目的として,本年度は以下の研究を実施した。 1.色温度,照度を組み合わせた4条件の光環境下で,足し算(MA)タスクおよび騒音(WN)を暴露した時の生理反応について,今年度新たに被験者6名を加え,検討した。その結果,MAタスク中の血圧上昇は高色温度環境で有意に大きいことが示された。また,MAタスク時の低色温度・低照度(3000K/200lx)環境では,被験者の特性不安得点と拡張期血圧変化に有意な正の相関が認められた。WN暴露中の血圧上昇は高照度環境で少ないことが示された。 2.光の質がoore interthreshold zone(CIZ)に及ぼす影響に関して本年度は未実施であった夏期の1,000lxにおける赤色光,青色光に曝露した時の測定を追加し検討した。その結果,温白色光曝露時のCIZは0.27±0.19℃,赤色光曝露時のCIZは0.14±0.19℃,青色光曝露時のCIZは0.12±0.23℃であることを確かめた。よって,CIZは照明条件の違いで異なり,赤色光や青色光に曝露された場合はゾーンが狭くなり,体温調節反応が鋭敏になる傾向があることが示唆された。 3.午前中3時間の単波長光(465nm(青),523nm(緑),638nm(赤))曝露が夜間の睡眠に与える影響を明らかにするために,継続して実験を行った。その結果,赤色より青色,緑色暴露で夜間の深部体温低下が少なく,青色暴露で夜間のメラトニン分泌が他の色より抑制することなどが明らかとなった。
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