2009 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活で受ける光の分光分布の違いがヒトのサーカデイアンリズムに及ぼす影響
Project/Area Number |
20370100
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
森田 健 Fukuoka Women's University, 人間環境学部, 教授 (20326474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若村 智子 京都大学, 医学部, 准教授 (40240452)
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Keywords | 環境 / 人類学 / 生理学 / 光 / 生体リズム |
Research Abstract |
本年度は、年間を通して生活スタイルの変化が小さい社会人を被験者として、一年間メラトニン分泌の挙動と日常生活での受光状況を調査し、それらの関係について考察した。被験者は25~50歳の男性10名、女性2名の合計12名の福岡市在住・勤務の社会人である。毎月1週間(火曜12時から金曜12時までの4日間)の調査を一年間に渡り実施した。日常生活での受光量を連続して計測するとともに、木曜11時から金曜7時まで4時間毎に唾液を採取し、メラトニン濃度変化を把握した。メラトニンの挙動は、7~10月(夏)に最大分泌量が小さく、その頂点位相は早い。11月(秋)には位相の変化はないが、分泌量が増加し、12~3月(冬)には分泌量は変化しないが位相の遅れが生じる。4~5月(春)は再び位相が早くなる。メラトニンの最大分泌量とその時刻、受光量の関係から、冬は日中の受光量が少なく夜間の受光量が多い。春から夏は日中受光量は多いが、冬の受光量は少ない。メラトニンの最大分泌時刻と日中受光量の間に負の相関が有意にあり、夜間受光量との間には正の相関傾向が見られた。すなわち、日中に多くの光を浴びるほどメラトニン分泌の位相が前進し、夜間に光を浴びるほど後退するということであり、これまでの報告を支持する結果であった。また、日中受光量が前月より多くなるほど、メラトニン最大分泌量が増加する傾向がみられた。この事から、光とメラトニン分泌の間には当日の昼や夜の光の影響だけでなく、経時的な変化が関わっており、履歴の影響を加味する必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)