2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子シグナル解析によるストレス抵抗性植物の育種基盤
Project/Area Number |
20380004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内宮 博文 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50142229)
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Keywords | シロイヌナズナ / イネ / NADK / CE-MS / 代謝解析 / 光合成 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのNADS, NMNAT, NADK2の過剰発現イネを作製し、後代系統を育成した。これら3種のNAD代謝酵素遺伝子を過剰発現させたイネの生理生化学的形質を明らかにするために、細胞内代謝物、生育、ストレス耐性等を解析した。質量分析装置による解析から、導入遺伝子発現の結果であるNAD等の代謝産物の量的増加を確認した。さらに、NAD代謝酵素の活性測定においても同様の結果が得られた。マイクロアレーの結果によれば、NADの高生産は、RNAレベルでは大きな促進あるいは、抑制効果の無いことが示された。生重量、植物体のサイズ、種子の数等の表現形については一部の結果が得られておりさらに次世代における解析を推進中である。クロロフィル量、光合成などに関しては予備的実験を完了した。メチルビオロゲンなどの活性酸素発生に関する防御の有無に関しては、予備的に耐性が認められた。乾燥、塩、高温、UV、低温、病害応答などのストレス応答に関しては、温室の条件を検討した。今年度から、二酸化炭素の高濃度条件を設定可能な装置を利用して、バイオマス増加への効果を検討した。その結果、有害雑草であるエゾノギシギシでは、高濃度二酸化炭素に加えて、窒素の供給が植物体の増収に大きく関与することを見出した。以上、20年度は、外来遺伝子の導入による転写と酵素レベルでの発現相関の解析、バイオマス増収への生理学的応答機構の解明に見るべき成果が得られた。
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Research Products
(3 results)