2010 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラガスにおける両性花および単性花形成に関わる分子機構の解明
Project/Area Number |
20380014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 清 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60157203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩月 明 (菅野 明) 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10260449)
山岸 真澄 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40210348)
駒井 史訓 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10372765)
鈴木 正彦 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90451418)
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Keywords | アスパラガス / 雌雄性 / 雄性判別マーカー / 超雄性 / 定量PCR / 全雄種子 |
Research Abstract |
アスパラガスの全雄性種子は,超雄性系統(YY)と雌性系統(XX)との交雑によって得られる。超雄性系統は,雄性両性同株性アスパラガスの株に着生した果実種子から植物体を育成し,選抜によって分離するのが一般的である。しかし、雄性両性同株性アスパラガスはまれにしか存在せず,実際に利用されている系統は、特定の品種から派生したものに限られている。そこで,より広範な品種における超雄性系統を育成することを目的として,超雄性アスパラガスが、次世代においてどのような仕組みで雄性を発現するのか、実験的根拠に基づいて検討した。全雄性種子が生産される仕組みは、すべての次世代植物がXY型のゲノム組成を持つからであると説明されている。そこで、品種ガインリムを用い、雄性両性同株性系統の自殖によって得た個体のなかから超雄性を示す個体を選抜し,ゲノムあたりの雄性判別DNAマーカーのコピー数を、定量PCRによって測定した。その結果,ほとんどの超雄性個体は,雄性決定因子について同型接合性を示したが,そのなかに通常の雄のゲノム組成,すなわち,異型接合雄性(XY)と推定される個体が見いだされた。この個体は、ほかの品種の雌性個体を用いた場合にも超雄性を示すことがわかった。アスパラガスの性発現は優劣のある対立遺伝子Mとmによって決定されると考えられている。性決定遺伝子に関して異型接合である雄性個体が超雄性を示す事例は、これまでの説明による雄性発現の伝達様式と矛盾する。現時点ではまだ、その仕組みの解明には至ってはいないが、それが明らかになれば、雄性同型接合体(YY)を利用しない新たな全雄性種子生産の方法として利用されるものと期待される。
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