Research Abstract |
本課題は果実に糖が蓄積する仕組みを「糖輸送体」という分子的観点から明らかにし,特にトマトをモデル作物としてESTデータベースに存在する糖輸送体の網羅解析を行う.また,形質転換体作出による果実の高糖度化にチャレンジする. 1,遺伝子発現解析:トマト完全長cDNAデータベースに見出した,SUT/SUCファミリー3種,STP/HXTファミリー5種,PLTファミリー1種,ITR/MITファミリー1種,pGlcTファミリー3種,AZT/MSSPファミリー2種,SFPファミリー3種,VGTファミリー2種の合計20種の糖輸送体の遺伝子発現プロファイルを半定量的RT-PCRにより明らかにし,S1SFP2,S1VGT2など果実で特異的に発現する糖輸送体を特定した. 2,糖輸送活性:SFPファミリーおよびVGTファミリーの糖輸送体をGFP融合タンパク質として発現させるための酵母発現ベクターを構築し,糖輸送のバックグラウンドが低い酵母EBY VW4000株に導入した.これら酵母の液胞膜にGFPの蛍光を確認できたため,液胞膜小胞を単離し,糖輸送活性の測定を進めている. 3,細胞内局在:植物でSFPファミリーまたはVGTファミリーとGFPの融合タンパク質を発現させるためのベクターを構築し,タマネギ表皮細胞ヘボンバードメント法で導入した.予備実験の結果,両者でGFPの蛍光が液胞膜で観察され,SFPファミリーおよびVGTファミリーが液胞膜の糖輸送であることが示唆された. 4,形質転換体の作出:カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの制御下で,SFPファミリーをRNAi法のより発現抑制した形質転換トマトを多数系統作出した.現在,このトマトの果実の糖含量の測定を行っている.
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