2009 Fiscal Year Annual Research Report
過敏感細胞死誘導における解糖系酵素GAPDHの新機能解明
Project/Area Number |
20380030
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
西澤 洋子 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (40355756)
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Keywords | 過敏感細胞死 / イネ / 活性窒素 / 活性酸素 |
Research Abstract |
キチンはいもち病菌など病原菌類の細胞壁の構成成分であり、キチナーゼによって加水分解されたキチンオリゴ糖は植物に活性酸素や活性窒素生成などの防御反応を誘導するエリシター作用を持つ。イネのEL5は、キチンエリシターによって発現が誘導されるユビキチンリガーゼである。本研究は、EL5と相互作用することが明らかになった解糖系酵素GAPDHの防御応答における機能を明らかにすることを目的とする。EL5の機能を抑制したイネ培養細胞では、キチンエリシター処理によって細胞死が誘導される。そこで、キチンエリシター処理後の水溶性画分のGAPDHをBlueNative-PAGE法や二次元電気泳動法で解析した。その結果、細胞質に4量体で存在することが知られているGAPDHは、キチンエリシター処理によって解離することが明らかになった。イネ細胞はキチンエリシターに応答して一酸化窒素(NO)を生成するが、NO発生剤(SNP)で処理した培養細胞においても、GAPDH複合体の解離が起きることが昨年度わかっている。そこで、SNPで処理した培養細胞について、二次元電気泳動後、抗GAPDH抗体でウェスタン分析を行ったところ、GAPDHは塩基側ヘシフトしていた。EL5は細胞膜に存在するが、安定化させたEL5を発現する細胞では、膜画分に存在するGAPDH量も増加することが明らかになった。しかし、その量はSNP処理の有無で変化しなかった。以上の結果から、病害防御反応においてNOが生成してGAPDHの修飾が起き、複合体が解離するが、防御応答で発現するEL5と相互作用するのは複合体中のGAPDHである可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)