2008 Fiscal Year Annual Research Report
多様な季節的多型を誘導するホルモン協働作用の分子解析
Project/Area Number |
20380033
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩見 邦博 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (70324241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (60183109)
東 政明 鳥取大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (20175871)
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
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Keywords | 休眠ホルモン / ヒメシロモンドクガ / カイコ / 季節的多型 / トレードオフ |
Research Abstract |
ヒメシロモンドクガ(Orgyia thyellina)は、幼虫期の日長条件の違いにより2つの季節的な戦略を展開する。長日条件では"夏戦略"を展開する。幼虫や蛹は淡い体色を呈し、白色の繭を葉の裏に作る。これらは熱の吸収を抑制し、葉に擬態する効果があると推測される。さらに成虫は発達した飛翔筋をもつ長翅型となり、生息範囲を拡大するために、飛翔に多くのエネルギーを費やす。そのため、多数産下される卵一つあたりのエネルギーは少なくなり、卵のサイズも小さくなる。一方、短日条件では"冬戦略"を展開する。幼虫や蛹の体色は黒化し、黒褐色の繭を樹の幹の風下に作る。これらは熱の吸収を促進するとともに樹の幹に擬態し、風害を防ぐ効果があると推測される。さらに成虫は短翅型となり、飛翔や翅の伸長に使うエネルギー消費を抑える。そして、卵形成にエネルギーを費やし、卵径が大きくて卵殻も厚く、栄養豊富な休眠卵を少数産むことで様々な耐寒性を卵に与える。このように、夏と冬にみられる翅型と卵の多型にはトレードオフ戦略が展開されていることが推測される。これまでに休眠ホルモン(DH)が卵の休眠を誘導することを明らかにした。今回はDHが休眠以外の卵の様々な季節的多型に関与しているかを調査した。その結果、FXPRLアミド神経ペプチドであるDHが、卵の様々な多型を誘導することを明らかにし、神経ペプチドがトレードオフ戦略に関与していることを初めて明らかにした。
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Research Products
(7 results)