2009 Fiscal Year Annual Research Report
多様な季節的多型を誘導するホルモン協働作用の分子解析
Project/Area Number |
20380033
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩見 邦博 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (70324241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (60183109)
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
|
Keywords | 休眠ホルモン / ヒメシロモンドクガ / カイコ / 季節的多型 / 休眠 / トレードオフ |
Research Abstract |
ヒメシロモンドクガ(Orgyia thyellina)は、幼虫期の日長条件の違いによりさまざまな季節的多型を発現する。なかでも、その産下卵においては、長日条件では卵殻の薄い小型の非休眠卵を多数産下し、短日条件では、卵殻が厚い大型の休眠卵を少数産下する。また、長日条件の成虫は、発達した飛翔筋をもつが、短日条件では、短翅型となり決して飛ぶことができない。これらの季節的多型はoogenesis-flightシンドロームに当てはまるトレードオフ戦略であると考えられる。しかしながら、この種をはじめとする昆虫の季節的多型誘導やさまざまな生物に見られるトレードオフ戦略の分子機構の詳細は明らかにされていない。これまでに我々は、神経ペプチドである休眠ホルモン(DH)が卵の休眠をはじめとする様々な季節的多型を誘導していることを明らかにした。今回は、(1)抗DH抗体の注射による多型誘導の抑制の調査。(2)DHと同様のC末端アミノ酸配列(FXPRLアミド)をもつα-SGNP、β-SGNP、γ-SGNP、PBANのそれぞれのペプチが卵の多型におよぼす影響を調査した。さらに(3)DHおよびFXPRLアミドペプチドの受容体cDNAのクローニングを試みた。抗DH抗体を短日条件で飼育した蛹へ注射した場合、短日型の卵のさまざまな多型誘導が抑制され、長日型の非休眠卵が産出された。また、DH以外のFXPRLアミドにおいても休眠をはじめとする短日型の表現型が誘導されることが分かった。カイコ(Bombyx mori)においては、DH以外のペプチドは休眠誘導に効果を示さないことから、2種の昆虫では異なる神経内分泌システムにより休眠が誘導されることが推測された。さらに、カイコのDHおよびPBAN受容体と相同性の高いcDNAが5種類クローニングできた。
|
Research Products
(5 results)